遺言書とは
遺言とは、亡くなった人(被相続人)が自分の遺産の分け方などを決めることができる唯一の法律手段です。
遺産争いを避けるため、また、財産を自分の思い通りに引き継ぎたいなど、さまざまなシーンで有効に使うことができます。
遺言書をお勧めするシーン
次のような状況が想像される場合は、遺言書が効力を発揮すると言えます。
遺産争いを避けたい
財産が少なくても、相続人が多い場合、相続財産の分け方で揉める傾向にあります。
相続財産を思いどおりに引き継ぎたい
遺言書では遺産の分け方、金額等を指定できるので、死後の相続財産を自分の思ったとおりに引き継ぐことができます。遺産を寄付したり、法定相続人以外の人に贈与することもできます。
残される家族の将来を守りたい
障害を持った家族をお持ちの方や、ひとり親の方で、未成年の子供を残す恐れのある場合は、残される家族の生活を法的に守ることができます。
遺言書を残している場合は、法定相続人より優先されます。ただし、法定相続人には遺留分という最低限の保障があります。(遺留分については、相続のページをご覧ください。)
遺言書の種類
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言書の3種類があります。
自分でも書ける、自筆証書遺言
遺言を残したい方が、自分で全文を書くことができ、費用も少なくてすむのが、自筆証書遺言です。全文・日付を自書し、署名・押印します。
ただし、パソコンによる作成が認められなかったり、日付を「○年○月吉日」として無効になった等、決まった書式を守っていないと思わぬ落とし穴もあります。また、紛失・改ざんの恐れもあります。相続が開始される際は、家庭裁判所による検認も必要になります。
自分で遺言書を書こうとする場合は、事前に知識を得たり、専門家に相談することをお勧めします。
公証人が記述・保管してくれる、公正証書遺言
証人二人以上の立会いのもと、遺言者自身が口頭し、公証人が遺言書を記述するのが、公正証書遺言です。自筆証書遺言のように、法的に無効になってしまう心配がありません。また、遺言書の原本は公正役場で保管(原則20年)されるので、紛失・改ざんの心配がありません。
ただし、費用がかかってしまう、容易に書き換えることができない、公証人に遺言の内容を知られるのに抵抗がある等の難点もあります。
遺言の内容を秘密にできる、秘密証書遺言
遺言の存在は伝えつつ、遺言の内容は秘密にできるのが、秘密証書遺言です。自筆で遺言書を用意し、交渉役場で手続を行います。公証人と証人二人が必要になります。
ただし、自筆証書遺言同様、書式を守っていない場合は、無効になります。また、相続が開始される際は、家庭裁判所による検認も必要になります。
遺言書を見つけても、すぐには開封しないでください!
もし、ご自宅等で遺言書を見つけても、すぐには開封しないでください。家族だからといって、勝手に開封することは法的に許されていません。開封した場合、たとえ相続人全員の立会いのもとであっても、5万円以下の過料を課せられます。ただし開封したからといって、遺言書自体が無効になる訳ではありません。
自筆証書遺言や秘密証書遺言には、家庭裁判書で「検認」という手続きをする必要があります。家庭裁判所が指定した期日に相続人全員が立ち会い、裁判所で開封します。
検認は、確かに本人が書いた遺言であることを確認します。本人以外の者による遺言内容の改ざんを防ぐためのものでで、遺言内容の正当性や分配を認めることではありません。
また、遺言書の書式に不備があると、無効な遺言として判断され、以後の相続手続ができなくなります。
遺言書を書いてみたいが、敷居が高い…
遺言書の必要性を感じながらも、どうしても敷居が高いと感じる方には、まずは、エンディングノートの活用をお勧めします。
エンディングノートに記載されたことは、遺言としての効力はありませんが、書くことで、自分がどうしたいのか、どんな財産があるのかを把握し、気持ちを整理することに役立ちます。
当事務所でも、オリジナルのエンディングノート「人生の棚卸しノート」を作成しました。くわしくは、こちらをご覧ください。
当事務所のサポート
当事務所では、相続に関する調査・相談や、遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、遺言執行に関連するサービスをさせていただいております。忙しくて時間が取れない方、なるべくスムーズに相続を行いたい方、手続きが煩雑でよく分からないという方は、ぜひご検討頂ければと思います。